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1.服薬指導の前に

  • 最初に相手の希望するコミュニケーション方法を確認しましょう:聴覚障がい者は話す相手や周囲の状況などによってコミュニケーション手段を使い分けています。患者が希望するコミュニケーション方法を確認しましょう。
  • 呼び出しは音声以外の方法を用いましょう:電光掲示板、番号表示など視覚的にわかりやすい方法や近くに行って知らせるなど、音声以外の方法で伝えましょう。
  • コミュニケーションのための事前準備をしましょう:明るく静かな場所を選び、筆談用に紙やタブレットなどを準備しましょう。

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2.コミュニケーションでの注意点

  • 読話:
    静かな明るい場所で口元を大きくゆっくり動かそう。口元を見せる他に伝え方にも注意が必要。
    抽象的な表現や専門用語は避けて、主語や術後を明確にして分節で区切るように話すことも大切。内容によってはジェスチャーや筆談などで補足するとよい。
    たとえば、2種類の目薬を使うときは5分空けて、と説明しても、「時間を空ける」と「目を開ける」の区別がつかずに、5分間目を開き続けようと頑張る、なんていう勘違いも起こるため、同音異義語は注意が必要。
    抽象的な表現や二重否定なども理解が難しい場合があるので、「はい」「いいえ」など具体的に答えやすい訊き方も意識する。
  • 筆談:
    日時等の大切なことは文字で伝えると間違いを減らせる。
    ただやはり手間のかかる方法なので、よくする説明などは、事前に説明図を準備しておくなど工夫も必要。

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3.服薬指導での注意点

服薬指導での薬剤師の説明で聴覚障がい者の方が分かりにくいと感じている例

  1. 1.本人に直接説明する:正確に伝える事を意識して、同伴者にばかり説明すると、話に置いてきぼりになった患者が不安を抱えてしまうこともある。本人の納得感がなければ、薬を使う場面で不安を感じて、勝手に飲むことをやめてしまうことも考えられる。本人にきちんと説明して納得してもらうことが大切。

  1. 2.理解できているか確認する:忙しい様子を感じ取って、わからなくても聞き直すことを遠慮している場合もある。相手の表情にも注意して、理解しているか十分確認しよう。

  1. 3.専門用語はわかりやすく説明する:自分たちにとって普段使い慣れている言葉でも患者にとって日常的でなければ、読話で理解しづらい場合がある。たとえば、坐薬を「座って飲む薬」と思っていた患者さんもいる。耳からの情報が少ないため、漢字から受けた印象や思い込みでなかなか自分の間違いに気づけないことがある。他にも食間を「食事中」と勘違いしたり、「多めの水」という言葉も抽象的で迷うため、「コップ一杯の水」、などと言い換えるとよい。よく聞かれる質問はあらかじめ説明用のイラスト等を準備しておくとよい。

  1. 4.電話以外の連絡方法を伝えよう:聴覚障がい者は電話の利用が難しい。メールやファックスなど、電話以外の連絡方法はきちんと伝えておこう。また、ファックスもちゃんと届いたか、不安に感じているはずなので、まずは受信したことを早めに返信するとよい。

  1. 5.薬局内情報の共有:障害程度などは会計や薬局内だけでなく、地域の医療機関にとっても重要な情報であるため、お薬手帳などを活用して、情報の連携・共有を行い、適切な服薬指導に役立てる。

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