「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等につきましては電子添文情報をご参照ください。

ゾフルーザの主要試験等一覧

ゾフルーザの主要試験等一覧

抗インフルエンザウイルス薬の作用点

ゾフルーザは、インフルエンザウイルスのmRNA合成を阻害することでウイルスの増殖を抑制する。
抗インフルエンザウイルス薬の作用点

バロキサビル※のインフルエンザウイルスに対する増殖阻害活性(in vitro)

バロキサビル活性体は、A型/B型の各亜型に対してウイルス増殖阻害活性を示した。

Yield reduction assayによるウイルス増殖に対するバロキサビル※及び対照化合物の用量反応曲線

in vitro用量反応曲線

 

 

成人及び青少年患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験(T0831試験)

社内資料(成人及び青少年患者対象国際共同第Ⅲ相プラセボ及び実薬対照試験)[承認時評価資料]

 Hayden FG, et al. N Engl J Med. 2018; 379: 913-923.

本研究は塩野義製薬の支援により行われた。本論文の著者に塩野義製薬の社員を含む。

試験概要

目的
ゾフルーザ40mg又は80mgの優越性を多施設共同、プラセボ及び実薬対照、ランダム化、二重盲検並行群間比較試験により評価した。
対象
12歳以上65歳未満のA型及び/又はB型インフルエンザウイルス感染症患者1,064例(ITTI※1解析集団)
試験概要
評価項目

[主要評価項目]

インフルエンザ症状が消失するまでの時間(インフルエンザ罹病期間)※2

・主要解析(検証的評価項目):対プラセボ群

・副次解析:対オセルタミビル群

[副次評価項目]

・平熱に回復※3するまでの時間

・インフルエンザ発症前の健康状態※4に戻るまでの時間

・ウイルス力価※5の変化量 ほか

[安全性評価項目]

有害事象、臨床検査、心電図、バイタルサイン

解析方法

[有効性]

主要評価項目の主要解析(検証的評価項目)として、12歳以上65歳未満のITTIを対象に、インフルエンザ罹病期間をゾフルーザ群とプラセボ群との間で比較した。

主要評価項目の副次解析として、20歳以上65歳未満のITTIを対象に、インフルエンザ罹病期間をゾフルーザ群とオセルタミビル群との間で比較した。

副次評価項目について、プラセボ群及びオセルタミビル群との比較を行った。

主要評価項目の副次解析及び副次評価項目の比較においては、多重性の調整を実施しなかった。

  1. ※1
    ITTI:intention-to-treat infected(治験薬を投与され、かつRT- PCRの結果に基づきインフルエンザウイルス感染が確認された被験者からなる集団)
  2. ※2
    インフルエンザ症状の消失は、インフルエンザ症状(咳、喉の痛み、頭痛、鼻づまり、熱っぽさ又は悪寒、筋肉又は関節の痛み、疲労感)が全て「0:なし」又は「1:軽症」となった時点を指し、 その状態が少なくとも21.5時間(24時間ー10%)持続していることとした。
  3. ※3
    平熱(37.0℃未満、腋窩温)となった時点で、その状態が少なくとも12時間持続していることとした。
  4. ※4
    0(想像できる最も悪い状態)から10(通常の健康状態)までの評価で患者自身が記録し、その状態に戻るまでの時間とした。
  5. ※5
    ウイルス力価は、患者の鼻腔又は咽頭ぬぐい液を用いて測定した。

患者背景

患者背景

主要評価項目:インフルエンザ罹病期間※

【検証的評価項目】

検証的評価項目

【副次解析】

副次解析

副次解析の比較においては多重性の調整を実施していない。

インフルエンザ罹病期間が欠測でない患者を対象とした。最終評価時点までインフルエンザ症状が消失しなかった患者は、その時点で打ち切りとした。

a)vs プラセボ群

b)群間差の95%信頼区間はブートストラップによるパーセンタイル法により算出

c)投与前のインフルエンザ7症状の合計スコア(11点以下、12点以上)と地域(日本/アジア、その他の地域)を層別因子とした

d)vs オセルタミビル群

  • ※
    インフルエンザ症状の消失は、インフルエンザ症状(咳、喉の痛み、頭痛、鼻づまり、熱っぽさ又は悪寒、筋肉又は関節の痛み、疲労感)が全て「0:なし」又は「1:軽症」となった時点を指し、その状態が少なくとも21.5時間(24時間ー10%)持続していることとした。

安全性

副作用はゾフルーザ群で610例中27例(4.4%)に37件、プラセボ群で309例中12例(3.9%)に19件、オセルタミビル群で513例中43例(8.4%)に53件発現した。

主なものは、ゾフルーザ群で下痢が11例(1.8%)、プラセボ群で下痢が4例(1.3%)、オセルタミビル群で悪心が8例(1.6%)、下痢が7例(1.4%)であった。

本試験においてゾフルーザ群、プラセボ群、オセルタミビル群のいずれの群でも死亡例、重篤な副作用は認められなかった。

中止に至った副作用は、ゾフルーザ群では認められず、プラセボ群1例(悪心、関節痛、背部痛、顎痛の重複例)、オセルタミビル群1例(悪心)に認められた。

安全性

副次評価項目:平熱に回復※するまでの時間

平熱に回復するまでの時間

副次評価項目の比較においては多重性の調整を実施していない。

投与前に体温37.0℃以上で、平熱に回復するまでの時間が欠測でない患者を対象とした。

a)vs プラセボ群

b)群間差の95%信頼区間はブートストラップによるパーセンタイル法により算出

c)投与前のインフルエンザ7症状の合計スコア(11点以下、12点以上)と地域(日本/アジア、その他の地域)を層別因子とした

d)vs オセルタミビル群

  • ※
    平熱(37.0℃未満、腋窩温)となった時点で、その状態が少なくとも12時間持続していることとした。

副次評価項目:インフルエンザ発症前の健康状態※に戻るまでの時間

インフルエンザ発症前の健康状態※2に戻るまでの時間

副次評価項目の比較においては多重性の調整を実施していない。

発症前の健康状態に戻るまでの時間が欠測ではなく、ベースライン時の健康状態スコアが発症前の健康状態スコアより低い患者を対象とした。

e)投与前のインフルエンザ7症状の合計スコア(11点以下、12点以上)と地域(日本/アジア、その他の地域)を層別因子とした。

  • ※
    0(想像できる最も悪い状態)から10(通常の健康状態)までの評価で患者自身が記録し、その状態に戻るまでの時間とした。

副次評価項目:ウイルス力価※の変化量

ウイルス力価の変化量

副次評価項目の比較においては多重性の調整を実施していない。

投与前にウイルス力価が陽性であった患者を対象とした。

a)投与前のインフルエンザ7症状の合計スコア(11点以下、12点以上)と地域(日本/アジア、その他の地域)を層別因子とした。

b)vs プラセボ群、c)任意の来院時点、d)vs オセルタミビル群。

  • ※
    ウイルス力価は、患者の鼻腔又は咽頭ぬぐい液を用いて測定した。

参考:バロキサビルによるインフルエンザ流行緩和に関するモデリング研究(海外データ)

Du Z, et al. Nat Commun. 2020; 11: 2750.
本研究は、臨床から得られた情報を基に数理モデルに当てはめたシミュレーションであり、実際の薬剤の効果を検証したものではありません。

試験概要

目的
成人及び青少年患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験(T0831試験)より得られたデータを基に、インフルエンザ症状発症後に抗ウイルス剤による治療を行った場合における、ウイルス量の変化及び集団レベルの感染拡大への治療の影響を階層数理モデルを用いて推定する。
方法

宿主内のウイルス動態を感染の伝播に関連付ける階層数理モデルを用いて、臨床試験の結果及び季節性インフルエンザのサーベイランスにモデルを適合し、シミュレーションを実施した。

階層数理モデルの手順は以下のとおりである。

(1)抗ウイルス剤によるインフルエンザウイルス複製阻害のwithin-host modelを臨床試験の結果に適合させ、患者の感染性への治療の影響を推定する。

(2)ヒト-ヒト間の伝播のbetween-host modelを、米国の季節性インフルエンザのサーベイランスに適合させ、インフルエンザ伝播率を推定する。

(3)(1)及び(2)の推定値をシミュレーションモデルに組み込み、新たな流行に対する抗ウイルス剤による治療の拡大と加速の影響を推定する。

評価項目

● 細胞間増殖への抗ウイルス剤治療の影響

● インフルエンザ伝播動態へのバロキサビル治療の影響(抗ウイルス剤投与後のウイルス量の変化、早期抗ウイルス剤治療によるインフルエンザウイルスの感染性低下、抗ウイルス剤集団治療による季節性インフルエンザ流行の減少、抗ウイルス剤治療の拡大と加速化の公衆衛生への影響など)

Limitation
ウイルス動態と治療の有効性が年齢やリスク因子によって異なる可能性があることを考慮していない。バロキサビル耐性ウイルスの発現と伝播はモデル化されていないため、ゾフルーザによる治療率を上げることで得られる集団レベルの利益が変わる可能性がある。感染は個人の接触パターンにも依存するが、接触率の変化を考慮していない(罹病時の学校への出席状況や、会社への出社状況等)。

抗ウイルス剤投与の感染性への影響

T0831試験におけるバロキサビル群、オセルタミビル群及びプラセボ群におけるウイルス量の推移をwithin-host modelに適合させ、それぞれのパラメータで流行期間における薬剤効果を推定した。

その結果、バロキサビル投与時には2日以内に感染性が消失する可能性が高いと推定された。

抗ウイルス剤投与の感染性への影響

患者は臨床試験と同じスケジュールで、症状の発症から48時間以内に治療されると想定された。

線と陰影は、1014の確率シミュレーション全体の中央値と四分位範囲を示す。

各時点での症例の感染性は、ウイルス量、治療の状況、及びインフルエンザサーベイランスデータから推定されたベースライン感染率に依存する。

抗ウイルス剤治療の拡大と加速化の公衆衛生への影響

症状発症後48時間以内に感染症例の30%にバロキサビルを投与すると仮定すると、米国における2017~2018シーズン治療実態下において、約2,200万例の感染と6,000例以上の死亡が回避されると推定された※1。

バロキサビルを用いた早期治療により、インフルエンザの罹患率と死亡率が減少する可能性が示唆された。

抗ウイルス剤治療の拡大と加速化の公衆衛生への影響

安全性

本論文中に安全性に関する記載はなかった。

ゾフルーザに関する安全性の詳細につきましては、電子添文をご参照ください。

ハイリスク†患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験(T0832試験)

社内資料(ハイリスク因子を有する患者対象国際共同第Ⅲ相臨床試験)[電子添文改訂時の評価資料]

Ison MG, et al. Lancet Infect Dis. 2020; 20: 1204-1214.

本研究は塩野義製薬の支援により行われた。本論文の著者に塩野義製薬の社員を含む。

試験概要

目的
ゾフルーザ40mg又は80mgの優越性を多施設共同、プラセボ及び実薬対照、ランダム化、二重盲検並行群間比較試験により評価した。
対象
ハイリスク因子を有する12歳以上のインフルエンザウイルス感染症患者1,163例(ITTI※1解析集団)
T0832試験試験概要

†:ハイリスク因子(CDC§によるハイリスク患者の定義を参考にした選択基準)

a. 喘息又は慢性肺疾患[慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症等]を有する患者。

b. 内分泌疾患(糖尿病を含む)を有する患者。

c. 長期療養施設(介護施設等)に入所している患者。

d. 免疫抑制状態にある患者[プレドニゾロン20mg以下又は等価の副腎皮質ホルモン薬の投与を受けている患者、現在治療中で、過去6ヵ月以内のCD4数が350cells/mm3超のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者を含む]。

e. 神経疾患及び神経発達障害[脳疾患、脊髄疾患、末梢神経疾患、筋疾患を含む。脳性麻痺、てんかん(てんかん発作)、脳卒中、筋ジストロフィー、脊髄損傷等]を有する患者。

例:脳性麻痺、てんかん(てんかん発作)、脳卒中、筋ジストロフィー、脊髄損傷

f. 心疾患を有する患者(先天性心疾患、うっ血性心不全、冠動脈疾患等)。ただし、高血圧症のみの患者は除く。

g. 65歳以上の患者。

h. アメリカインディアン及びアラスカ先住民。

i. 血液疾患を有する患者(鎌状赤血球症等)。

j. 代謝異常を有する患者(先天性代謝異常、ミトコンドリア病等)。

k. 病的な肥満[体格指数(BMI)40kg/m2以上]の患者。

l. 出産後2週間以内で授乳中ではない患者。

§:CDC(Centers for Disease Control and Prevention);米国疾病予防管理センター

評価項目

[主要評価項目]

インフルエンザ症状が改善するまでの時間(インフルエンザ罹病期間)※2

 ・主要解析(検証的評価項目):対プラセボ群

 ・副次解析:対オセルタミビル群

[副次評価項目]

 ・ウイルス力価※3の変化量

 ・インフルエンザ関連合併症(死亡、入院、副鼻腔炎、中耳炎、気管支炎、X線検査で確認された肺炎)の発現率 ほか

[安全性評価項目]

有害事象、臨床検査、心電図、バイタルサイン

解析方法

[有効性]

ITTIを対象に、主要評価項目の主要解析(検証的評価項目)として、インフルエンザ罹病期間をゾフルーザ群とプラセボ群を比較し、副次解析としてオセルタミビル群との比較を行った。

副次評価項目について、プラセボ群及びオセルタミビル群との比較を行った。

主要評価項目の副次解析及び副次評価項目の比較においては、多重性の調整を実施しなかった。

  1. ※1
    ITTI:intention-to-treat infected(治験薬を投与され、かつRT-PCRの結果に基づきインフルエンザウイルス感染が確認された被験者からなる集団)
  2. ※2
    インフルエンザ罹病期間:インフルエンザ症状の全てが以下に示す改善、維持、又は消失と判定されるまでの時間とした。
    改善:インフルエンザ発症前から存在した症状(咳、疲労感、筋肉又は関節の痛み)のうち、投与前検査で患者が悪化していると評価した症状が、中程度→軽症/なし、重症→中程度/軽症/なしとなる。
    維持:インフルエンザ発症前から存在した症状(咳、疲労感、筋肉又は関節の痛み)のうち、投与前検査で患者が悪化していないと評価した症状が、中程度→中程度、重症→重症となる。
    消失:投与前検査で新規の症状が、軽症又はなしとなる。
  3. ※3
    ウイルス力価は、患者の鼻腔又は咽頭ぬぐい液を用いて測定した。

患者背景

患者背景

ハイリスク因子の分布(いずれかの群で10%以上)

ハイリスク因子の分布
  1. ※1
    慢性閉塞性肺疾患 (COPD)、嚢胞性線維症等
  2. ※2
    先天性代謝異常、ミトコンドリア病等
  3. ※3
    先天性心疾患、うっ血性心不全、冠動脈疾患等。ただし、高血圧症のみの患者は除く。
  4. ※4
    体格指数(BMI )40kg/m2以上

主要評価項目:インフルエンザ罹病期間※

【検証的評価項目】:インフルエンザ罹病期間(対プラセボ群)
【副次解析】インフルエンザ罹病期間(対オセルタミビル群)

インフルエンザ罹病期間

副次解析の比較においては多重性の調整を実施していない。

インフルエンザ罹病期間が欠測でない患者を対象とした。最終評価時点までインフルエンザ症状が改善しなかった患者は、その時点で打ち切りとした。

a)投与前のインフルエンザ7症状の合計スコア(14点以下、15点以上)と地域(日本/アジア、北米/欧州、南半球)と既存症状の悪化を層別因子とした。

b)vs プラセボ群、c)群間差の95%信頼区間はブートストラップによるパーセンタイル法により算出、d)vs オセルタミビル群。

  • ※
    インフルエンザ罹病期間:インフルエンザ症状の全てが以下に示す改善、維持、又は消失と判定されるまでの時間とした。
    改善:インフルエンザ発症前から存在した症状(咳、疲労感、筋肉又は関節の痛み)のうち、投与前検査で患者が悪化していると評価した症状が、中程度→軽症/なし、重症→中程度/軽症/なしとなる。
    維持:インフルエンザ発症前から存在した症状(咳、疲労感、筋肉又は関節の痛み)のうち、投与前検査で患者が悪化していないと評価した症状が、中程度→中程度、重症→重症となる。
    消失:投与前検査で新規の症状が、軽症又はなしとなる。

副次評価項目:インフルエンザ関連合併症※の発現率

インフルエンザ関連合併症の発現率

副次評価項目の比較においては多重性の調整を実施していない。

e)X線検査で確認された肺炎

  • ※
    死亡、入院、副鼻腔炎、中耳炎、気管支炎、X線検査で確認された肺炎

安全性

副作用はゾフルーザ群で730例中41例(5.6%)に49件、プラセボ群で727例中60例(8.3%)に76件、オセルタミビル群で721例中57例(7.9%)に72件発現した。

主なものは、ゾフルーザ群で悪心が16例(2.2%)、プラセボ群で悪心が20例(2.8%)、オセルタミビル群で悪心が23例(3.2%)であった。

本試験においてゾフルーザ群、プラセボ群、オセルタミビル群のいずれの群でも死亡例は認められなかった。

重篤な副作用は、ゾフルーザ群では認められず、プラセボ群で2例(低血圧、悪心)、オセルタミビル群で2例(肝機能検査異常、肝機能検査値上昇)に認められた。

中止に至った副作用は、ゾフルーザ群で2例(嘔吐、蕁麻疹)、プラセボ群で2例(悪心、頭痛)、オセルタミビル群で3例(心窩部不快感、上腹部痛、味覚異常及び腹部不快感及び悪心の重複例)に認められた。

安全性

参考:成人患者における季節性インフルエンザの治療におけるバロキサビル マルボキシルの臨床的有効性:観察研究

Yoshino Y, et al. Int J Gen Med. 2020; 13: 735-741.

著者に塩野義製薬より講演料、コンサルタント料等を受領している者が含まれる。

試験概要

目的
ゾフルーザの臨床的有効性をゾフルーザ、オセルタミビル又はラニナミビルで治療した季節性インフルエンザウイルス感染症の成人患者において、臨床経過と健康関連QOL(HRQOL)スコアの変化を評価し比較した。
対象
迅速診断キットにより診断され、ゾフルーザ、オセルタミビル又はラニナミビルのいずれかの治療を受けた季節性インフルエンザウイルス感染症患者43例
方法
単施設における前向き観察研究。2018年11月~2019年4月に、帝京大学病院の外来クリニックを受診した季節性インフルエンザウイルス感染症患者を募集した[初回来院時に48時間以上発熱(体温37.0℃以上)している患者は本試験から除外した]。患者は医師の判断でゾフルーザ(40mg又は80mgを1回)、オセルタミビル(75mgを1日2回、5日間)又はラニナミビル(40mgを1回)のいずれかを処方されていた。
主要評価項目
治療後の解熱までの時間※、HRQOLスコアの変化(参考情報) ほか
解析方法
初回来院時に年齢、性別、疾患発症後の最高体温、発熱の時間経過を含む人口統計学的及び臨床データを収集した。更に、咳、咽頭痛、鼻汁、頭痛、筋肉痛、関節痛、悪心/嘔吐、下痢などの症状、体温、脈拍数、インフルエンザウイルス型(A型又はB型)のデータを記録した。解析結果は、特に記載のない限り、中央値[四分位範囲]で示した。独立した群間において多重比較するため、Wilcoxonの符号順位検定、Fisherの正確確率検定、又はMann-WhitneyのU検定を用いて、連続データ及び分類データについて解析した。p値はいずれも両側検定とし、有意水準はp<0.05とした。全ての統計解析にはStatFlex version 6を用いた。また、日本語版Medical Outcome Study 8-Item Short Form Health Survey(SF-8)に基づき、初回来院時及び7日間治療後のHRQOLを評価した。SF-8は8つの尺度からなるHRQOL評価であり、身体的サマリースコア(PCS)と精神的サマリースコア(MCS)の2つのサマリースコアを生成する。インフルエンザ治療後、症状の臨床経過を質問票を用いて評価した。調査票を提出しなかった又は回答しなかった患者は、本研究から除外した。
Limitation
本研究は1シーズン(2018/2019年)かつ単施設で実施した。解析症例数が43例と、比較的少なかった。

※治療後の解熱までの時間は、体温37.0℃未満が2日間持続した場合に、体温が37.0℃を下回った最初の日を解熱日と定義した。

PCS:physical component summary MCS:mental component summary

患者背景

患者背景

中央値[四分位範囲]又は例数(%)

PCS:physical component summary MCS:mental component summary

+:ゾフルーザ群とラニナミビル群との間に有意差有り(p=0.02478、Mann-WhitneyのU検定)

*:オセルタミビル群とラニナミビル群との間に有意差有り(p=0.00137、Mann-WhitneyのU検定)

主要評価項目:治療後の解熱までの時間※

解熱までの時間(中央値[四分位範囲])は、ゾフルーザ群では1.0[1.0~2.0]日、ラニナミビル群では2.0[1.5~3.5]日、オセルタミビル群では3.0[1.0~3.0]日であった。ゾフルーザ群では、ラニナミビル群と比べ解熱までの時間は有意に短かった[p=0.0322(名目上のP値)、Mann-WhitneyのU検定]が、オセルタミビル群との比較では2群間に有意差はなかった[p=0.0670(名目上のP値)、Mann-WhitneyのU検定]。

主要評価項目:治療後の解熱までの時間

各群の解熱までの時間をプロットした。ボックスは、解熱までの時間の四分位範囲を示す。

Mann-WhitneyのU検定

  • ※
    治療後の解熱までの時間は、体温37.0℃未満が2日間持続した場合に、体温が37.0℃を下回った最初の日を解熱日と定義した。

【参考情報】主要評価項目:HRQOLスコアの変化

身体的サマリースコア(PCS)は、いずれの薬剤群においても有意なスコアの上昇が観察された[p<0.001(名目上のp値)、Wilcoxon符号順位検定]。その変化の程度については、各群間で有意差は認められなかった[p>0.05(名目上のp値)、Mann-WhitneyのU検定]。精神的サマリースコア(MCS)は、各群間で変化の程度について、有意差は認められなかった[p>0.05(名目上のp値)、Mann-WhitneyのU検定]。

【参考情報】主要評価項目:HRQOLの改善の程度

中央値[四分位範囲]、0日目と7日目のPCS及びMCSの変化の比較:Wilcoxon符号順位検定、各群間の変化の比較:Mann-WhitneyのU検定

*:0日目と7日目の変化

PCS(physical component summary)及びMCS(mental component summary)は、8つの健康概念(身体機能、日常役割機能(身体)、体の痛み、全体的健康感、活力、社会生活機能、日常役割機能(精神)、心の健康)をもとに算出される。(Tokuda Y, et al. Value Health. 2009; 12: 568-573.)

PCS、MCS共にスコアが高いほうが良好な状態であることを示す。

安全性

治療開始後に発現した消化器症状は、ゾフルーザ群で下痢4例(28.6%)、悪心/嘔吐5例(35.7%)、オセルタミビル群で下痢6例(46.2%)、悪心/嘔吐1例(7.7%)、ラニナミビル群で下痢4例(25.0%)、悪心/嘔吐5例(31.3%)であった。なお、本論文中に消化器症状以外の安全性に関する記載はなかった。

ゾフルーザに関する安全性の詳細につきましては、電子添文をご参照ください。

その他のゾフルーザ関連情報