COVID-19治療に関する情報
重症化に関連する要因と重症度の評価【重症度の評価】1)
下記は、『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第10.1版』に掲載されている重症度の定義である。
この重症度分類は、SARS-CoV-2による肺炎の医療介入における重症度である。入院に関しては、この分類で軽症に該当する患者であっても、特に高齢者の場合には、全身状態などを考慮する必要がある。また、COVID-19を契機とした呼吸器疾患や心疾患の増悪、誤嚥性肺炎の合併など、他の疾患の増悪に留意する必要がある。
酸素飽和度にもとづく重症度分類
重症度と治療薬の選択および開始のタイミング【重症度分類】2)
ワクチンの普及やオミクロンへの置き換わりに伴い、成人では典型的なウイルス性肺炎を呈する患者が減少した。一方で、ワクチン非接種者やワクチンの最終接種から時間が経過している者、基礎疾患のある患者などでは、依然としてウイルス性肺炎を呈する場合がある。また、高齢者では、誤嚥性肺炎、うっ血性心不全などを合併し、入院治療が必要となる患者は少なくない。個々の患者の症状、重症度に応じた適切な対症療法や下図に示すようにさまざまな治療を選択する。
重症度別マネジメントのまとめ
- 「重症度別マネジメントのまとめ」において、ゾコーバ錠(エンシトレルビル)は軽症~中等症Ⅰの患者が対象とされている。重症化リスクの高い患者に適応は限定されていない。
抗ウイルス薬:抗ウイルス薬の選択3)
はじめに
SARS-CoV-2に対する抗ウイルス薬は、ウイルス量を減少させる薬剤であり、副次的な薬効として、重症化予防、症状改善をもたらすエビデンスがある。オミクロン流行前、ワクチン普及前は重症化をきたす頻度が高く、重症化予防が抗ウイルス薬投与の主たる目的であり、各臨床試験でも重症化(入院・死亡)予防が評価項目であった。現在ではウイルス株の変異やワクチン接種により、重症化率が低下するなど病態が変化しており、症状軽減も投与目的の一つとなっている。
それ以外にも、曝露後感染予防、伝播抑制への効果が期待され、今後の知見の集積が期待される。また、現時点で12歳未満の小児適応を有する経口剤はなく、今後の開発が待たれる。本指針では、現在の各抗ウイルス薬に関するエビデンスを整理するとともに、現時点における実臨床に鑑み、一般医家に向けて、「成人の外来診療における抗ウイルス薬の選択フローチャート」(下図)を作成した。さらに、抗ウイルス薬の選択においては、重症化予防目的においては、重症化リスク因子(免疫不全を含む)を保有する症例を対象として、それぞれの薬剤の特性・適応〔年齢、腎機能による調整、併用禁止薬、妊婦、授乳婦への禁忌、服薬コンプライアンス、詳細については、別項目参照〕を総合的に検討して、症例にあった薬剤を投与することを推奨する。
抗ウイルス薬:抗ウイルス薬の選択【成人の外来診療における抗ウイルス薬選択のフロー】4)
成人の外来診療における抗ウイルス薬の選択
重症化のリスク評価
抗ウイルス薬:抗ウイルス薬の選択【各抗ウイルス薬のエビデンス】5)
エンシトレルビルのエビデンス(一部抜粋)
1.重症化予防
①オミクロン流行以前
エンシトレルビル以外の各抗ウイルス薬によるCOVID-19重症化予防に関する二重盲検無作為化比較試験(randomized controlled trial:RCT)は、いずれもSARS-CoV-2ワクチン開発前、かつオミクロン流行より前の時期に実施されている。
②オミクロン流行以降
エンシトレルビルは、日本の健康保険組合(JMDC)データベースを用いた研究で、オミクロン流行下(2022年11月22日~2023年7月31日)の重症化リスク因子を保有する18歳以上の症例で背景をマッチングした抗ウイルス薬非投与群と比較し、発症から28日までの理由を問わない入院をHR:0.63(95%CI. 0.42-0.94)と有意に低下させた6)。
2.症状の軽減
References
1) 長谷川直樹. 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業.
厚生労働科学研究費補助金厚生労働行政推進調査事業 新型コロナウイルス感染症診療の指針作成のための研究.
http://mhlw-grants.niph.go.jp/project/178206(2025年12月12日~2026年4月6日に利用)
5学会による新型コロナウイルス感染症 診療の指針 2025. p26.
2) 5学会による新型コロナウイルス感染症 診療の指針 2025. p28.
3) 長谷川直樹. 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業.
厚生労働科学研究費補助金厚生労働行政推進調査事業 新型コロナウイルス感染症診療の指針作成のための研究.
http://mhlw-grants.niph.go.jp/project/178206(2025年12月12日~2026年4月6日に利用)
広告規制により一部省略しています。適宜原文を参照ください。 https://www.mhlw.go.jp/content/001580139.pdf
5学会による新型コロナウイルス感染症 診療の指針 2025. p44.
4) 長谷川直樹. 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業.
厚生労働科学研究費補助金厚生労働行政推進調査事業 新型コロナウイルス感染症診療の指針作成のための研究.
http://mhlw-grants.niph.go.jp/project/178206(2025年12月12日~2026年4月6日に利用)
広告規制により一部省略しています。適宜原文を参照ください。 https://www.mhlw.go.jp/content/001580139.pdf
5学会による新型コロナウイルス感染症 診療の指針 2025. p48-9.
5) 長谷川直樹. 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業.
厚生労働科学研究費補助金厚生労働行政推進調査事業 新型コロナウイルス感染症診療の指針作成のための研究.
http://mhlw-grants.niph.go.jp/project/178206(2025年12月12日~2026年4月6日に利用)
5学会による新型コロナウイルス感染症 診療の指針 2025. p44-6.
6) Takazono T,et al.Infect Dis Ther. 2024 ; 13 : 1821-33.
利益相反:本試験は塩野義製薬の支援により行われた。著者に塩野義製薬の社員を含む。
7) Yotsuyanagi H,et al.JAMA Netw Open. 2023 ; 7 : e2354991.
利益相反:本試験は塩野義製薬の支援により行われた。著者に塩野義製薬の社員を含む。