解説:研究/出版における不正行為
不正行為となる研究/出版活動
研究活動において、捏造、改ざん、盗用などの行為は不正行為とみなされる。
- 出版活動では、不適切な多重発表、不適切なオーサーシップ、不適切な利益相反の記載などの不誠実な行為が不正行為となる場合がある。
- 不正行為が疑われた場合には、出版倫理委員会のフロチャートに従った解決が推奨されている。
出版倫理委員会(Committee on Publication Ethics)のフロチャート
フロチャートがある項目(抜粋)
- 多重出版の疑いがある場合注
- 盗用の疑いがある場合
- データの捏造がある場合
- 著者の追加や削除の要請があった場合
- ゴーストオーサーシップ、ゲストオーサーシップ、ギフトオーサーシップの疑いがある場合
- 利益相反が明示されていないのではないかとの疑いがある場合 など
注)公衆衛生などの観点から広く知らせる必要があったり、読者層が異なる場合には許容されることがあります。出版ガイドライン1,2では、下記のような条件次第では容認される場合がありうるとしています。
- オリジナルおよび次の投稿先から許可が得られている場合
- オリジナルに忠実な内容である場合
- オリジナルではないことを明示する場合 など
1 DeTora LM, Toroser D, Sykes A, et al. Good Publication Practice (GPP) Guidelines for Company-Sponsored Biomedical Research: 2022 Update. Ann Intern Med. 2022; 175(9):1298-1304. https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/M22-1460 Accessed January 30, 2023.
2 ICMJE Recommendations for the Conduct, Reporting, Editing, and Publication of Scholarly Work in Medical Journals. http://www.icmje.org/recommendations/ Accessed January 30, 2023.
不正行為に対する基本姿勢*
- 研究活動や出版活動の本質に反する不正行為は、科学研究に対する社会の信頼を揺るがし、科学の発展を妨げるものであることから、研究費の多寡や出所の如何を問わず絶対に許されません。
- 不正行為は、研究者の存在意義を自ら否定するものであり、自己破滅につながるものでもあります。
- これらのことを、個々の研究者(著者)はもとより、所属先やスポンサーも十分理解して、不正行為に対して厳しい姿勢で臨む必要があります。
出版ガイドライン1,2によると、不正行為が認められた場合は出版物の訂正や撤回および撤回声明による公表が求められる場合があるとされています。
*研究活動の不正行為への対応のガイドラインについてー研究活動の不正行為に関する特別委員会報告書ー、文部科学省
1 DeTora LM, Toroser D, Sykes A, et al. Good Publication Practice (GPP) Guidelines for Company-Sponsored Biomedical Research: 2022 Update. Ann Intern Med. 2022; 175(9):1298-1304. https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/M22-1460 Accessed January 30, 2023.
2 ICMJE Recommendations for the Conduct, Reporting, Editing, and Publication of Scholarly Work in Medical Journals. http://www.icmje.org/recommendations/ Accessed January 30, 2023.