利益相反の開示の意義

  • 正確で偏りがなく透明かつ責任ある方法でタイムリーに医学研究が公表されることで社会利益につながる。
  • 信頼できる研究と読者が判断するには、著者の利害関係がいかに透明化されているかが判断材料のひとつになりえる。
  • 利害関係の要因には、親密な関係や対抗意識、競争や信念などがあるが、特に経済的な関係がある場合にその利益が専門的な判断に悪影響する(社会利益を冒す=利益相反が生じる)可能性が考えられる。
  • 利益相反あるいは潜在的な利益相反を著者自らが開示することで、読者が適切に判断できるようにする必要性は、出版ガイドライン1,2にも記載されている。

1 DeTora LM, Toroser D, Sykes A, et al. Good Publication Practice (GPP) Guidelines for Company-Sponsored Biomedical Research: 2022 Update. Ann Intern Med. 2022; 175(9):1298-1304.
https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/M22-1460 Accessed January 30, 2023.

2 ICMJE Recommendations for the Conduct, Reporting, Editing, and Publication of Scholarly Work in Medical Journals.
http://www.icmje.org/recommendations/ Accessed January 30, 2023.

適切な利益相反の開示に向けて

  • 利益相反の開示の方針や基準は学会やジャーナルによって様々です。投稿先が規定した開示項目であっても開示内容として不十分であると読者に解釈される場合がありえます。
  • 標準化した開示を円滑に行うには、ICMJE(医学雑誌編集者国際委員会)の Disclosure Form を用いる方法があり、利益相反がない場合でも無いことを示す目的で ICMJE Disclosure Form を利用することができます。
  • ICMJE非加盟誌に対してもICMJE Disclosure Form の採用が勧められています。
  • もしも開示するべき期間が指定されていない場合には過去36か月について記載することが推奨されています。

ICMJE Disclosure Formにおける開示項目

  1. 1
    研究/出版に対する全ての支援
  2. 2
    何らかの組織からの研究助成または契約
  3. 3
    ロイヤルティまたはライセンス
  4. 4
    コンサルティング料
  5. 5
    講義、発表、講演、原稿執筆または教育イベントに対する報酬または謝礼金
  6. 6
    専門家証言に対する報酬
  7. 7
    会議出席・旅費への支援
  8. 8
    特許(計画中、取得済み、または出願中)
  9. 9
    データ安全監視委員会または諮問委員会への参加
  10. 10
    有給無給を問わず、他の理事会、組織、委員会、または活動団体におけるリーダーまたは受託者の役割
  11. 11
    株式あるいはストックオプション
  12. 12
    機器、材料、薬剤、メディカルライティング、贈答品、またはその他のサービスの受領
  13. 13
    その他の金銭的あるいは非金銭的な利益

ICMJE Disclosure of Interest (Updated February 2021) https://www.icmje.org/disclosure-of-interest/