Q1 ある著者は、「利益相反があること自体が問題であり、開示するとその問題が明らかになってしまうため、できるだけ開示したくない」と考え、利益相反の一部を開示しませんでした。
このような考え方や対応に問題はあるでしょうか?

はい

解説: 利益相反は世間一般に存在します。
医科学出版においては、利益相反によるバイアスが含まれる可能性を読者が判断できるようにするために、直接的および間接的な利益相反を開示することが求められており、利益相反を開示しないことは出版倫理に反します。
利益相反は、避けたり隠したりするのではなく、適切に対応することが重要です。

Q2 薬剤Aに関するパブリケーションの著者の一人は、その家族が薬剤Aを販売している企業の株式を保有していたことを開示しませんでした。
これは望ましい対応でしょうか?

いいえ

解説:利益相反の開示内容として、Good Publication Practice (GPP)ガイドライン1では下記の内容が挙げられています。

・著者またはその家族が、パブリケーション内容に関係する企業の株式を保有する場合、開示内容に含まれる。

・著者またはその家族が、パブリケーション内容に関係する企業に雇用されていたり、関係する特許(申請中の特許を含む)を保有してる場合も、
     開示内容に含まれる。

1 DeTora LM, Toroser D, Sykes A, et al. Good Publication Practice (GPP) Guidelines for Company-Sponsored Biomedical Research: 2022 Update. Ann Intern Med. 2022; 175(9):1298-1304. https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/M22-1460 Accessed January 30, 2023.
Q3 ジャーナルや学会から開示の期限が指定されていないため、過去36ヶ月の利益相反について開示しました。
この対応に問題はあるでしょうか?

いいえ

解説:ジャーナルや学会から開示の期限が指定されていない場合、ICMJE Disclosure form*に従い、過去36ヶ月の開示期限を設定することが、 Good Publication Practice (GPP)ガイドライン1で推奨されています。

*ICMJE Disclosure of Interest (Updated February 2021) https://www.icmje.org/disclosure-of-interest/

1 DeTora LM, Toroser D, Sykes A, et al. Good Publication Practice (GPP) Guidelines for Company-Sponsored Biomedical Research: 2022 Update. Ann Intern Med. 2022; 175(9):1298-1304. https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/M22-1460 Accessed January 30, 2023.

Q4 責任著者の了解を得た製薬企業担当者が、論文の著者に対して、ICMJE Disclosure form*に基づきCOIの開示を依頼したところ、著者の一人から「該当なし」の回答があった。この著者については、担当者が所属する企業からの講演料を受け取った事実があり、直近の別論文では他の製薬企業からの資金を得ている旨の記載があったことから、開示内容の見直しを再度依頼した。
この対応に問題はあるでしょうか?

いいえ

解説: 論文著者に対して利益相反の開示を依頼(request)することは正しい在り方です。しかしながら、開示内容に懸念がある(関係企業が関わる利益相反が記載されていない)場合には、適切に開示いただくよう依頼することが必要となる場合があります。

一方、利益相反は著者個人の責任のもと開示されるべきものですので、開示を要求(require)したり強制したりすることは適切ではありません。

*ICMJE Disclosure of Interest (Updated February 2021) https://www.icmje.org/disclosure-of-interest/