特定使用成績調査 -非がん性慢性疼痛患者を対象とした長期使用に関する調査- <最終報告>

「禁忌を含む使用上の注意」等につきましては添付文書(電子添文)をご参照ください。

調査の概要

納谷憲幸,他.新薬と臨牀.2023;72:201-31を参考に作成.

( 本調査は塩野義製薬及びシオノギファーマコビジランスセンターの支援により行われた。著者はすべて塩野義製薬又はシオノギファーマコビジランスセンターの社員である)

調査目的
オピオイド誘発性便秘症を有する非がん性慢性疼痛患者に対する本剤の長期使用時を含む使用実態下における安全性及び有効性に関する情報を収集する。また、本剤の重要な特定されたリスクである下痢が発現、あるいは重篤化しやすい患者背景の探索を行うことを目的とする。
調査対象
本剤の使用経験のないオピオイド誘発性便秘症を有する非がん性慢性疼痛患者
収集症例数
351例
実施施設数
74施設
調査方法
中央登録方式
観察期間
本剤の投与開始から52週間(52週間未満の場合、投与終了日まで)
調査実施期間
2018年1月~2022年3月
解析対象症例
安全性解析対象症例:348例、有効性解析対象症例:303例
調査実施者
塩野義製薬株式会社及びシオノギファーマコビジランスセンター株式会社
本報告の限界

・本調査はコントロール群のない観察研究である。

・有効性の結果には患者からの自己申告に基づく想起バイアスが含まれる可能性が否定できない。

・本邦のみの調査であることから、人種差等の観点から本結果の一般化には一部限界がある。

安全性調査事項
下痢、オピオイド離脱症候群及びオピオイドの鎮痛効果の減弱の他、臨床検査値の異常変動を含むその他の事象の発現状況を調査した。なお、便秘症状の増悪は有害事象としなかった。有害事象のうち、本剤との因果関係が否定できない事象を副作用とし、ICH 国際医薬用語集日本語版(MedDRA/J Ver. 24.1)に基づき集計した。また、患者背景因子別及び治療因子別の上記発現状況についても検討した。
有効性調査事項
本剤投与開始2週後、4週後、8週後、12週後、24週後、36週後、52週後の各観察時点で本剤が投与中かつ各改善度が評価されていた症例を対象とした。該当症例について、各観察時点又は投与中止・終了時の排便回数の改善度(「改善」「不変」「悪化」症例に対する「改善」症例の割合)及び排便状況(便の硬さ、いきみ、残便感)の改善度(「改善」「やや改善」「不変」「やや悪化」「悪化」症例に対する「改善」「やや改善」症例の割合)を調査した。また、患者背景因子別、治療因子別、本剤投与開始時点で使用されていたオピオイドの種類別の上記改善割合についても検討した。
統計解析

統計解析にはSAS® Release 9.2以上(SAS Institute Inc., Cary, NC, USA)を用いた。検定の有意水準は両側5%、信頼区間は両側95%とした。

【安全性】副作用の発現例数を集計し発現割合を算出した。下痢の発現あるいは重篤化しやすい要因の探索では、「不明」のカテゴリの症例を除き、カテゴリ間の独立性の評価にはカイ2乗検定を行い、要因分析には独立性の評価で有意になった因子を説明変数とした多変量ロジスティック回帰モデルを適用した。要因分析では、本剤投与に関する項目及び併用薬に関する項目については有意差がみられた場合も説明変数として採用しなかった。

【有効性】排便回数及び排便状況について、各観察時点で本剤が投与中であり、かつ改善度が評価されている症例における改善割合を算出した。

患者背景

患者背景

納谷憲幸,他.新薬と臨牀.2023;72:205-6より引用.

( 本調査は塩野義製薬及びシオノギファーマコビジランスセンターの支援により行われた。著者はすべて塩野義製薬又はシオノギファーマコビジランスセンターの社員である)

治療因子

治療因子

納谷憲幸,他.新薬と臨牀.2023;72:205-6より引用.

( 本調査は塩野義製薬及びシオノギファーマコビジランスセンターの支援により行われた。著者はすべて塩野義製薬又はシオノギファーマコビジランスセンターの社員である)

投与期間別の中止・終了理由の分布

安全性解析対象症例348例において、 本剤投与開始52週後の時点で本剤の投与を継続していた症例は116例(33.3%)でした。中止・終了した症例は232例(66.7%)で、そのうちの中止・終了理由はオピオイドの投与中止が最も多く73例(31.5%)、続いて症状改善が62例(26.7%)でした。

投与期間別の中止・終了理由の分布

納谷憲幸,他.新薬と臨牀.2023;72:205-6より引用.

( 本調査は塩野義製薬及びシオノギファーマコビジランスセンターの支援により行われた。著者はすべて塩野義製薬又はシオノギファーマコビジランスセンターの社員である)

安全性 ◆副作用の発現状況

安全性解析対象症例348例において、 副作用は21例に認められ、 副作用発現割合は6.03%でした。最も多い副作用は下痢14例(4.02%)でした。

安全性 ◆副作用の発現状況

納谷憲幸,他.新薬と臨牀.2023;72:210より引用.

( 本調査は塩野義製薬及びシオノギファーマコビジランスセンターの支援により行われた。著者はすべて塩野義製薬又はシオノギファーマコビジランスセンターの社員である)

安全性 ◆副作用の重篤性・発現時期・転帰

副作用発現例数は21例において28件で、 死亡症例などの重篤な副作用の発現はありませんでした。発現時期は、 副作用28件のうち、 13件(46.4%)が本剤投与開始から1週未満に発現しました。また、 5件(17.9%)が1週以上2週未満、 4件(14.3%)が2週以上4週未満、 2件(7.1%)が4週以上6週未満、 4件(14.3%)が8週以上に発現しました。転帰は、回復又は軽快が25件(89.3%)、 未回復が3件(10.7%)でした。

安全性 ◆副作用の重篤性・発現時期・転帰

納谷憲幸,他.新薬と臨牀.2023;72:211より作図.

(本調査は塩野義製薬及びシオノギファーマコビジランスセンターの支援により行われた。著者はすべて塩野義製薬又はシオノギファーマコビジランスセンターの社員である)

安全性 ◆下痢の重篤性・発現時期・転帰

下痢は14例に14件発現し、すべて非重篤でした。発現時期は、 7件(50.0%)が本剤投与開始から1週未満に発現しました。また、 1件(7.1%)が1週以上2週未満、 2件

(14.3%)が2週以上4週未満、 1件(7.1%)が4週以上6週未満、 3件(21.4%)が8週以上に発現しました。転帰はすべて、 回復又は軽快でした。

安全性 ◆下痢の重篤性・発現時期・転帰

納谷憲幸,他.新薬と臨牀.2023;72:211より作図.

(本調査は塩野義製薬及びシオノギファーマコビジランスセンターの支援により行われた。著者はすべて塩野義製薬又はシオノギファーマコビジランスセンターの社員である)

安全性 ◆患者背景因子別の副作用発現

年齢層別での副作用発現割合は、 65歳未満(119例)で6.72%(8例)、 65歳以上75歳未満(72例)で12.50%(9例)、75歳以上(157例)で2.55%(4例)でした。また、 下痢の発現割合は65歳未満で4.20%(5例)、 65歳以上75歳未満で6.94%(5例)、 75歳以上で2.55%(4例)でした。

安全性 ◆患者背景因子別の副作用発現

納谷憲幸,他.新薬と臨牀.2023;72:213-4より引用.

(本調査は塩野義製薬及びシオノギファーマコビジランスセンターの支援により行われた。著者はすべて塩野義製薬又はシオノギファーマコビジランスセンターの社員である)

安全性 ◆治療因子別の副作用発現

本剤投与開始時点で使用されていたオピオイドとして最も多かったトラマドール処方例(313例)では、副作用及び下痢の発現割合はそれぞれ5.11%(16例)及び3.83%(12例)でした。

安全性 ◆治療因子別の副作用発現

納谷憲幸,他.新薬と臨牀.2023;72:215-6より引用.

(本調査は塩野義製薬及びシオノギファーマコビジランスセンターの支援により行われた。著者はすべて塩野義製薬又はシオノギファーマコビジランスセンターの社員である)

有効性 ◆排便回数及び排便状況の改善度

有効性解析対象症例303例において、排便回数及び排便状況の改善割合は、観察期間を通してそれぞれ73.8%~91.0%及び79.7%~94.4%でした。

有効性 ◆排便回数及び排便状況の改善度

納谷憲幸,他.新薬と臨牀.2023;72:217より引用.

( 本調査は塩野義製薬及びシオノギファーマコビジランスセンターの支援により行われた。著者はすべて塩野義製薬又はシオノギファーマコビジランスセンターの社員である)

有効性 ◆患者背景因子別の排便回数の改善度

排便回数の改善割合は、 65歳未満(95例)で79.3%~91.7%、 75歳以上(142例)で74.2%~91.3%でした。男性(111例)及び女性(192例)では、 それぞれ70.6%~87.1%及び74.0%~93.1%でした。

有効性 ◆患者背景因子別の排便回数の改善度

納谷憲幸,他.新薬と臨牀.2023;72:218-21より引用.

( 本調査は塩野義製薬及びシオノギファーマコビジランスセンターの支援により行われた。著者はすべて塩野義製薬又はシオノギファーマコビジランスセンターの社員である)

有効性 ◆患者背景因子別の排便状況の改善度

排便状況の改善割合は、 65歳未満(95例)で84.5%~94.4%、 75歳以上(142例)で78.4%~93.5%でした。男性(111例)及び女性(192例)では、 それぞれ70.6%~90.3%及び81.9%~96.6%でした。

有効性 ◆患者背景因子別の排便状況の改善度

納谷憲幸,他.新薬と臨牀.2023;72:222-5より引用.

( 本調査は塩野義製薬及びシオノギファーマコビジランスセンターの支援により行われた。著者はすべて塩野義製薬又はシオノギファーマコビジランスセンターの社員である)

有効性 ◆オピオイドの種類別の排便回数及び排便状況の改善割合

本剤投与開始時点で使用されていたオピオイドとして最も多かったトラマドール処方例(274例、90.4%)における排便回数及び排便状況の改善割合は、観察期間を通してそれぞれ73.8%~90.9%及び80.3%~93.5%でした。

有効性 ◆オピオイドの種類別の排便回数及び排便状況の改善割合

納谷憲幸,他.新薬と臨牀.2023;72:226-9より引用.

( 本調査は塩野義製薬及びシオノギファーマコビジランスセンターの支援により行われた。著者はすべて塩野義製薬又はシオノギファーマコビジランスセンターの社員である)

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