各国の不眠症ガイドライン掲載情報
本邦における睡眠障害の対応と治療ガイドライン
2019年に睡眠障害の診断・治療ガイドライン研究会から発行された睡眠障害の対応と治療ガイドラインでは、診断・治療に関してアルゴリズムが示されています。
アルゴリズムでは、不眠の訴えの症状把握後、治療が必要な患者に対して睡眠衛生指導に続く薬物療法の実施、さらには、薬物療法有効例においては、寛解時には睡眠薬の減薬・休薬を行う休薬トライアル、薬物療法が無効・部分寛解時には、認知行動療法(CBT-I)を実施するフローなどが示されています。
アルゴリズムでは、不眠の訴えの症状把握後、治療が必要な患者に対して睡眠衛生指導に続く薬物療法の実施、さらには、薬物療法有効例においては、寛解時には睡眠薬の減薬・休薬を行う休薬トライアル、薬物療法が無効・部分寛解時には、認知行動療法(CBT-I)を実施するフローなどが示されています。

欧州不眠症ガイドライン*
欧州では、不眠症診療の進歩を受けて、2023年に欧州不眠症ガイドラインが改訂されました。
このガイドラインは、ヨーロッパ睡眠学会(ESRS:European Sleep Research Society)と欧州不眠症ネットワーク(EIN:European Insomnia Network)の研究者と臨床医のグループにより、2016年6月から2023年5月までに公表された不眠症の診断と治療に関する最新のエビデンスに基づき改訂されました。ICD-10/ICD-11で定義される成人の慢性不眠症を対象とし、プライマリ・ケアの一般開業医や、睡眠の専門家でない臨床医が患者に適切な治療を提供するための指針となることを目的の1つとしています。
臨床アルゴリズムでは、不眠の症状が臨床的に重大な障害(症状)であり、不眠症の治療が必要であると判断された患者において、認知行動療法を第一選択とし、治療効果が認められない場合に薬物療法を実施することが推奨されています。
ダリドレキサントは欧州医薬品庁(EMA:European Medicines Agency)に2022年、2023年で唯一承認されているデュアルオレキシン受容体拮抗薬として記載されています。
このガイドラインは、ヨーロッパ睡眠学会(ESRS:European Sleep Research Society)と欧州不眠症ネットワーク(EIN:European Insomnia Network)の研究者と臨床医のグループにより、2016年6月から2023年5月までに公表された不眠症の診断と治療に関する最新のエビデンスに基づき改訂されました。ICD-10/ICD-11で定義される成人の慢性不眠症を対象とし、プライマリ・ケアの一般開業医や、睡眠の専門家でない臨床医が患者に適切な治療を提供するための指針となることを目的の1つとしています。
臨床アルゴリズムでは、不眠の症状が臨床的に重大な障害(症状)であり、不眠症の治療が必要であると判断された患者において、認知行動療法を第一選択とし、治療効果が認められない場合に薬物療法を実施することが推奨されています。
ダリドレキサントは欧州医薬品庁(EMA:European Medicines Agency)に2022年、2023年で唯一承認されているデュアルオレキシン受容体拮抗薬として記載されています。
*European Insomnia Guideline
臨床アルゴリズム

Riemann D, et al.: J Sleep Res. 2023; 32(6): e14035.
(https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/)
推奨事項

Riemann D, et al.: J Sleep Res. 2023; 32(6): e14035.
(https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/)
米国睡眠医学会(AASM)
成人における慢性不眠症の薬理学的治療のための診療ガイドライン*
米国では、2017年に米国睡眠医学会(AASM:American Academy of Sleep Medicine)より、成人における慢性不眠症の薬理学的治療のための診療ガイドラインが公表されました。
AASMは、慢性不眠症には、認知行動療法(CBT-I)が第一選択であり、薬物治療はそれが有効でない場合や一時的な補助として考慮されるべきとしたうえで、薬物治療についてエビデンスに基づく推奨を提供し、臨床医が適切な薬剤選択を行うための指針となることを目的として本ガイドラインを作成しました。
ガイドライン作成にあたり、AASMは睡眠医学の専門家からなるタスクフォースを設置し、ランダム化比較試験を特定するための系統的レビューを実施しました。推奨は、エビデンスの質や有益性と有害性のバランス、患者の価値観と好みに基づきエビデンスレベルが設定されました。
慢性不眠症治療における推奨事項については、推奨の強さはすべて「弱い」となっています。特定の治療の妥当性についての最終的な判断は、個々の患者の状況、利用可能な診断手段、利用可能な治療選択肢やリソース、安全性も考慮し、臨床医が行わなければならないとされています。
AASMは、慢性不眠症には、認知行動療法(CBT-I)が第一選択であり、薬物治療はそれが有効でない場合や一時的な補助として考慮されるべきとしたうえで、薬物治療についてエビデンスに基づく推奨を提供し、臨床医が適切な薬剤選択を行うための指針となることを目的として本ガイドラインを作成しました。
ガイドライン作成にあたり、AASMは睡眠医学の専門家からなるタスクフォースを設置し、ランダム化比較試験を特定するための系統的レビューを実施しました。推奨は、エビデンスの質や有益性と有害性のバランス、患者の価値観と好みに基づきエビデンスレベルが設定されました。
慢性不眠症治療における推奨事項については、推奨の強さはすべて「弱い」となっています。特定の治療の妥当性についての最終的な判断は、個々の患者の状況、利用可能な診断手段、利用可能な治療選択肢やリソース、安全性も考慮し、臨床医が行わなければならないとされています。
*Clinical Practice Guideline for the Pharmacologic Treatment of Chronic Insomnia in Adults
GRADEシステムによる診療の推奨とエビデンスの質


Sateia MJ, et al.: J Clin Sleep Med. 2017; 13(2): 307-349.