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社内資料:日本人不眠症患者を対象とした国内第Ⅲ相試験[ID-078A304試験](承認時評価資料)

Uchimura N, et al.: Sleep Med. 2024; 122: 27-34.

( 本研究はNxera Pharma Japanの資金により行われた。著者はNxera Pharma Japanよりコンサルタント料等を受領している。

著者はNxera Pharma Japan社員である。)( 本研究はMochida Pharmaceutical Co., Ltd.の資金により行われた。)

試験概要

目的
日本人不眠症患者におけるクービビックの有効性及び安全性を評価する。
試験デザイン
多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較試験
対象

不眠症患者490例

<主な登録基準>

・18歳以上、BMIが30.0kg/m2未満の男女

・DSM-5に基づき不眠障害と診断された患者

・ 初回スクリーニング(来院1回目)前の12週以上にわたって週3夜以上、自己報告による以下のすべての症状がある患者

  (a)主観的睡眠潜時(sLSO)30分以上 (b)主観的中途覚醒時間(sWASO)30分以上

  (c)主観的総睡眠時間(sTST)6.5時間以下

・来院1回目の不眠重症度指数(ISI)スコアが15以上の患者

・来院1回目で普段の就床時刻(中央値)が20:30~00:30、就床時間(中央値)が6時間から9時間と報告した患者

・プラセボrun-in期(来院2回目)の直前7日間記入した睡眠日誌において、3夜以上で以下のすべてに該当する患者

  (a)主観的睡眠潜時(sLSO)30分以上 (b)主観的中途覚醒時間(sWASO)30分以上 

  (c)主観的総睡眠時間(sTST)6.5時間以下

・ 来院2回目の直前7日間記入した睡眠日誌において、普段の就床時刻(中央値)が20:30~00:30、就床時間(中央値)が6時間から9時間と報告した患者

・ 無作為化(来院3回目)の直前7日間のうち6日以上プラセボを服用し、睡眠日誌においてプラセボ服用日のうち3夜以上で以下のすべてに該当する患者

  (a)主観的睡眠潜時(sLSO)30分以上 (b)主観的中途覚醒時間(sWASO)30分以上 

  (c)主観的総睡眠時間(sTST)6.5時間以下

・ 来院3回目の直前7日間記入した睡眠日誌において、普段の就床時刻(中央値)が20:30~00:30、就床時間(中央値)が6時間から9時間と報告した患者

方法

本試験はスクリーニング期(7~18日間)、単盲検のプラセボrun-in期(14~20日間)、二重盲検期(28日間)、プラセボrun-out期(7日間)及びフォローアップ期(23日間)で構成された。

プラセボrun-in期の後、クービビック25mg群、50mg群又はプラセボ群に1:1:1の比で無作為に割付け、二重盲検下で1日1回就寝前に4週間経口投与した。その後、単盲検にてプラセボを1日1回就寝前に7日間経口投与した。

方法
評価項目

主要評価項目(有効性):検証的解析項目

・4週時における主観的総睡眠時間(sTST)ならびに主観的睡眠潜時(sLSO)のベースラインからの変化量のクービビック50mg群とプラセボ群の比較

副次評価項目(有効性):

・4週時における主観的総睡眠時間(sTST)ならびに主観的睡眠潜時(sLSO)のベースラインからの変化量のクービビック25mg群とプラセボ群の比較

探索的評価項目:

・ 2週時における主観的総睡眠時間(sTST)のベースラインからの変化量のクービビック25mg群、50mg群とプラセボ群の比較

・ 2週時における主観的睡眠潜時(sLSO)のベースラインからの変化量のクービビック25mg群、50mg群とプラセボ群の比較

安全性評価項目:

有害事象、バイタルサイン、臨床検査、心電図、C-SSRS、翌日の持ち越し効果(睡眠日誌のVAS「今朝のあなたの気分について」)、反跳性不眠、退薬症候[ベンゾジアゼピンによる離脱症状に関する質問票(BWSQ)]、日中の眠気[エプワース眠気尺度(JESS)] 等

解析計画

解析対象集団:

有効性の解析対象集団は、無作為化され少なくとも1回治験薬を投与されたすべての患者(FAS)、安全性の解析対象集団は治験薬を1回以上投与されたすべての患者とした。

主要評価項目(2週時は探索的評価項目):

主観的総睡眠時間(sTST)及び主観的睡眠潜時(sLSO)のベースラインからの変化量について、それぞれのベースライン値、投与群、年齢区分(65歳未満、65歳以上)、評価時点(2週時、4週時)を固定効果、被験者を変量効果、投与群と評価時点及びベースライン値と評価時点を交互作用項とした線形混合効果モデルを用いて解析した。線形混合効果モデルは、無構造共分散行列を基本として測定間の相関をモデル化し、対比を用いてプラセボ群とクービビック50mg群を比較した。

検定の多重性による第1種の過誤の増大を防ぐため、階層的閉手順により4週時における主観的総睡眠時間(sTST)についてプラセボ群とクービビック50mg群との比較を行い、両側有意水準0.05で有意差が認められた場合、4週時における主観的睡眠潜時(sLSO)についてプラセボ群とクービビック50mg群を比較した。

なお、主観的総睡眠時間(sTST)及び主観的睡眠潜時(sLSO)とも、評価時点(2週時、4週時)の週平均は、評価日及びその直前の6日間(少なくとも3日間)における平均値とし、1週間のデータが3日未満であった場合、その週平均は欠測とし、主要解析においては欠測値の補完は行わず、線形混合効果モデルを適用した。

副次評価項目:

主要評価項目である4週時における主観的睡眠潜時(sLSO)の帰無仮説が棄却された場合、検定の多重性による第1種の過誤の増大を防ぐため、階層的閉手順により4週時における主観的総睡眠時間(sTST)についてプラセボ群とクービビック25mg群との比較を行い、両側有意水準0.05で有意差が認められた場合、4週時における主観的睡眠潜時(sLSO)についてプラセボ群とクービビック25mg群を比較した。主要評価項目の解析で用いるモデルを用い、対比によりプラセボ群とクービビック25mg群を比較した。

患者背景(FAS)

患者背景

有効性

4週時における主観的総睡眠時間(sTST)のベースラインからの変化量
[主要評価項目(検証的解析結果)、副次評価項目]

国内第Ⅲ相試験(ID-078A304試験)において、第1の主要評価項目である4週時における主観的総睡眠時間(sTST)のベースラインからの変化量のクービビック50mg群とプラセボ群との差(最小二乗平均値)は20.3分[95%CI:11.4〜29.2]であり、sTSTはプラセボ群と比較してクービビック50mg群で有意に延長しました( p<0.001、線形混合効果モデル)(検証的解析結果)。

sTSTのベースラインからの変化量(FAS)

4週時における主観的睡眠潜時(sLSO)のベースラインからの変化量
[主要評価項目(検証的解析結果)、副次評価項目]

国内第Ⅲ相試験(ID-078A304試験)において、階層的閉手順により4週時における主観的総睡眠時間(sTST)についてプラセボ群とクービビック50mg群との比較を行い、両側有意水準0.05で有意差が認められたため、4週時におけるsLSOについてプラセボ群とクービビック50mg群を比較した。第2の主要評価項目である4週時における主観的睡眠潜時(sLSO)のベースラインからの変化量のクービビック50mg群とプラセボ群との差(最小二乗平均値)は-10.7分[95%CI:-15.8〜 -5.5]であり、sLSOはプラセボ群と比較してクービビック50mg群で有意に短縮しました(p<0.001、線形混合効果モデル)(検証的解析結果)。

4週時における主観的睡眠潜時(sLSO)のベースラインからの変化量

安全性(安全性解析対象集団)

1)有害事象及び副作用

二重盲検期において、有害事象はクービビック25mg群で17.8%(29/163例)、50mg群で22.2%(36/162例)、プラセボ群で22.6%(37/164例)に、副作用はそれぞれ7.4%(12/163例)、11.1%(18/162例)及び8.5%(14/164例)に発現しました。

二重盲検期における副作用

副作用

2)重篤な副作用

本試験において、重篤な副作用は報告されませんでした。

3)投与中止に至った副作用

二重盲検期に投与中止に至った副作用は、クービビック25mg群で1例(0.6%)に発疹、50mg群で1例(0.6%)に浮動性めまいが報告されました。

4)死亡に至った副作用

本試験において、死亡例は報告されませんでした。

*MedDRA version 25.0に基づく

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