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CRPAの脅威

薬剤耐性菌が世界的に増加する一方で新規抗菌薬の開発は減少傾向にあり、国際社会で深刻な課題となっている。英国のO’Neillレポートによると、薬剤耐性菌に起因する死者数はグローバルで年間推定約70万人に達している(2013年時点)と報告されており、対策を怠れば2050年には年間1,000万人が死亡し、癌による死亡者数を超えると推測されている1)。この問題を克服すべく、WHOは新規抗菌薬開発が必要な薬剤耐性菌リストを2017年に公表したが、2024年に改訂を行い、優先順位を更新した。このリストでは優先順位別にCritical(重大)、High(高い)、Medium(中等度)の3群に分類しており、カルバペネム耐性緑膿菌(Carbapenem-Resistant Pseudomonas aeruginosa:CRPA)は、2017年のリストではCritical groupに位置付けられていたが、2024年のリストではHigh groupに変更された。これはWHOの少なくとも1地域で明らかな減少傾向を示したことや伝播能力が限定的であることによるが、免疫不全患者や医療現場では致死的となるため、研究開発は依然として重要であるとされている2)

WHOによる報告2)

WHOによる報告

CRPAはカルバペネム系抗菌薬に耐性を示す緑膿菌を指し、感染防御能が低下した患者において、肺炎、尿路感染症、菌血症等、様々な感染症の原因菌となる。カルバペネムのみならず複数の抗菌薬に耐性を獲得した株を多剤耐性緑膿菌(Multidrug-Resistant P. aeruginosa:MDRP)と呼ぶ。米国では年間32,000人以上がMDRP感染症を引き起こし、死者数は2,700人に至る(2017年時点)と報告されており、米国疾病管理・予防センター(CDC)はMDRPをSerious Threats:深刻な脅威としている3)

CRPAの薬剤耐性機構

緑膿菌は複数の耐性機構が絡み合うことで多剤耐性を獲得している。

耐性機構は内因性と外因性の2種類に大別される。内因性の耐性機構は、特定の抗菌薬を使用し続けることで細菌が本来持つ内在性遺伝子が変異し耐性を獲得することであり、例としてポーリンの減少による細菌外膜の変化、薬剤排出ポンプの機能亢進、AmpC型β-ラクタマーゼの過剰産生、標的蛋白の変異等があげられる4)。外因性の耐性機構は、細菌が他の耐性菌株からプラスミドを介して新たに耐性遺伝子を獲得し耐性化することであり、例としてMBLの産生や薬剤修飾不活化酵素の産生がある4)。これらの耐性機構のうち、カルバペネム系薬に対する耐性獲得には、❶ポーリン変異による外膜透過性の低下、❷β-ラクタマーゼによる薬剤の不活化、❸薬剤排出ポンプの機能亢進の3つの主な機構が関与していると考えられている5)

CRPAの薬剤耐性機構

日本環境感染学会 多剤耐性菌感染制御委員会:環境感染誌, 32, Suppl.Ⅲ, 2017, S1-S25

多剤耐性の定義

本稿ではカルバペネム耐性緑膿菌(CRPA)を取り上げているが、他にも多剤耐性を示す用語は複数存在する。米国のCDCと欧州のECDCは、2012年に緑膿菌を含む対象菌種において多剤耐性の定義となる基準を公表した6)。この定義では、多剤耐性(Multidrug-Resistant:MDR)を3系統以上の抗菌薬に耐性、超多剤耐性(Extensively Drug-Resistant:XDR)を1系統もしくは2系統の抗菌薬を除いた全ての系統の抗菌薬に耐性、汎多剤耐性(Pandrug-Resistant:PDR)を全ての系統の抗菌薬に耐性としている。しかし、XDRやPDRの評価には多系統の抗菌薬に対するin vitro 試験が必要となるうえ、有効性や毒性に関係なく等しく重み付けされる点が臨床上の問題となっていた。そこで新たな概念として難治耐性(Difficult-to-Treat Resistance:DTR)が提唱された7)。DTRはβ-ラクタム系抗菌薬とフルオロキノロン系抗菌薬の全薬剤に耐性を示すことと定義され、有効性が高く毒性の低い標準的治療薬を用いた概念であることから、IDSAの耐性菌治療ガイダンスにも組み込まれている。本邦で注意すべきは「多剤耐性緑膿菌」の定義である。前述のMDRと本邦の感染症法に基づく定義(MICでイミペネム・シラスタチン≧16μg/mL、アミカシン≧32μg/mL、シプロフロキサシン≧4μg/mLの全てを満たす)が同義ではないためである。加えて耐性の基準も両者で異なるため、国内外のデータ比較は困難であることに留意したい。

CDC :Centers for Disease Control and Prevention、米国疾病管理・予防センター

ECDC:European Centre for Disease Prevention and Control、欧州疾病予防管理センター

IDSA :Infectious Diseases Society of America、米国感染症学会

MDR、XDR、PDR、UDR、DTRの定義の違い

「西村 翔: 多剤耐性菌感染症, 内科127(4), p.750, 2021」より許諾を得て転載

疫学

カルバペネマーゼ遺伝子型別検出割合

カルバペネマーゼの遺伝子型の検出状況には地域特異性がみられ、日本と諸外国における疫学は大きく異なる。カルバペネマーゼはAmbler分類に基づき3つのクラス(Class A、B、D)に分類される。クラスAのKPC型は、クラスAの内世界で最も流行している型であり、北米、南米、欧州諸国、中国で多く検出される。クラスBのNDM型はインド等南アジアや中国で多く、クラスDのOXA-48型はトルコやアルジェリア、スペイン、フランス等の地中海諸国で多く報告されている8)。日本においてはクラスBのIMP型が主流となっており、日本で分離されるカルバペネマーゼ産生緑膿菌のほどんどはIMP型であると報告されている9)
β-ラクタマーゼの分類

中村明子ほか:THE CHEMICAL TIMES, 2016, 1, 239, 10、 石井良和:日本臨床微生物学雑誌, 2014, 24(3), 171より作表

ESBL : extended-spectrum β -lactamase、基質拡張型β -ラクタマーゼ  VIM : Verona integron-encoded metallo-β -lactamase、クラスB カルバペネマーゼの一つKPC : Klebsiella pneumoniae carbapenemase、クラスA カルバペネマーゼの一つ AmpC: class C ampicillinase、クラスC β -ラクタマーゼの一つ

IMP : imipenemase、クラスB カルバペネマーゼの一つ OXA : oxacillinase、クラスD カルバペネマーゼの一つ

NDM: New Delhi metallo-β-lactamase、クラスB カルバペネマーゼの一つ

 

緑膿菌のカルバペネム耐性率

JANISの院内感染対策サーベイランスによると、2022年の入院検体から分離された緑膿菌のカルバペネム耐性率は、イミペネム耐性が14.8%、メロペネム耐性が9.5%であった10)

MDRP、DTR-PA、MBLの治療選択肢

CRPA/MDRP感染症の治療は抗菌薬が中心となり、薬剤感受性検査結果に加え基礎疾患や感染部位等を参考に選択する。MDRPは多くの抗菌薬に耐性を示すため、除菌が困難で難治化することから臨床上の問題となっている。

MDRP、DTR-PA、MBLに対するガイドラインの記載

MDRP及び本邦で主流のカルバペネマーゼであるメタロβ-ラクタマーゼ(MBL)に対してはどのような抗菌薬が推奨されるのか。緑膿菌に有効とされる抗菌薬は存在するが、MDRP及びMBL産生菌については本邦のガイドライン作成時点で決定打となる抗菌薬が存在しない。そのため、JAID/JSC感染症治療ガイド2023ではMDRP(感染症法基準)の場合、従来のβ-ラクタム系抗菌薬の中で感受性があるもの、また併用療法やコリスチン等も選択肢に入るとしており、MBLの場合は感受性結果をもとに検討し、MDRP同様、併用療法やコリスチンも選択肢であると記載されている11)

では、DTR-PAであった場合はどの薬剤を検討すべきか、本邦のガイドラインにはDTR-PAに関する記載はない。選択肢としてはアミノグリコシド系やコリスチンがあるが12)、これらの薬剤が使用しづらいケースもある。そのため、IDSAのグラム陰性桿菌感染症治療ガイダンス2024では、DTR-PAに対して新規β-ラクタム系抗菌薬(セフトロザン-タゾバクタム、セフタジジム-アビバクタム、イミペネム-シラスタチン-レレバクタム、セフィデロコル)が推奨されている。さらに、DTR-PAでMBL産生の場合は、MBL産生菌に対しても活性が報告されているセフィデロコルが推奨されている13)

※各ガイドラインは自国の疫学及び承認薬が反映されており耐性基準や用語の定義が異なるため、その点を十分に考慮し治療戦略を検討する必要がある。

 

新たな治療選択肢「セフィデロコル(フェトロージャ)」

セフィデロコルはカテコール基とシデロフォアを構造に持つことでクラスA、B、Dの全てのカルバペネマーゼ産生菌に対し抗菌力を示す。これまで本邦未承認であったが、2023年12月に発売され(セフィデロコル、販売名:フェトロージャ)、CRPA/MDRPの新たな治療選択肢に加わった。

MDRP : 多剤耐性緑膿菌:日本の感染症法基準ではMICでイミペネム・シラスタチン≧16μg/mL、アミカシン≧32μg/mL、シプロフロキサシン≧4μg/mLの全てを満たす場合と定義

DTR-PA : 難治耐性緑膿菌:β-ラクタム系抗菌薬とフルオロキノロン系抗菌薬の全薬剤に耐性

フェトロージャ

※適応菌種:セフィデロコルに感性の大腸菌、シトロバクター属、肺炎桿菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア・マルセスセンス、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、緑膿菌、バークホルデリア属、ステノトロホモナス・マルトフィリア、アシネトバクター属

ただし、カルバペネム系抗菌薬に耐性を示す菌株に限る。

細菌の薬剤耐性機序を克服する世界初の作用機序

作用機序

フェトロージャは細菌が自ら鉄を取り込む性質を利用し、その鉄に結合することで細菌内に侵入し抗菌作用を発揮する世界初の作用機序を有する薬剤である。これにより、カルバペネム耐性菌の主要な耐性機序の一つである外膜透過性低下を回避する。

さらに、各種β-ラクタマーゼに対し高い安定性を示し、排出ポンプ高産生の影響を受けにくいという特徴を有している。

これらの機序によって既存のβ-ラクタム耐性を克服し、標的であるペニシリン結合タンパク質に結合することで細胞壁合成を阻害する。

作用機序

Zhanel, GG. et al.:Drugs, 2019, 79(3), 271より作図

著者に塩野義製薬株式会社より研究助成金を受領している者が含まれる。

フェトロージャはグラム陰性桿菌の薬剤耐性機序による影響を受けにくいことが示された(in vitro

AmpC高産生株における抗菌活性(in vitro

フェトロージャはAmpCの発現を制御するampD、dacB遺伝子の不活化により、MICは2倍に上昇したが、CLSIブレイクポイントの値(4μg/mL)を超えることはなかった。

臨床分離株のAmpC高産生変異株(AmpC high producer)においてもMICは維持された。

P. aeruginosaのAmpC高産生株に対するMIC

Tn:transposon insertion、トランスポゾン挿入

セフィデロコルはID-CAMHB(鉄制限培地)、その他抗菌薬はCAMHBを用いてMICを測定

試験方法 

P. aeruginosa PAO1株及び変異株を用いて、CLSIの微量液体希釈法によりMICを測定した。

Ito, A. et al.:J Antimicrob Chemother., 2018, 73, 3049より改変

本研究は塩野義製薬株式会社の資金により実施された。著者に塩野義製薬株式会社社員が含まれる。

ポーリン欠損株における抗菌活性(in vitro

フェトロージャはカルバペネム系抗菌薬の取り込みに関与するompK35及びompK36のポーリン欠損変異株に対し、MICは2~4倍に上昇したが、CLSIブレイクポイントの値(4μg/mL)を超えることはなかった。
ポーリン欠損株における抗菌活性(in vitro)

セフィデロコルはID-CAMHB(鉄制限培地)、参照薬はCAMHBを用いてMICを測定

試験方法 

K. pneumoniae NVT2001S株及び変異株を用いて、CLSIの微量液体希釈法または寒天平板希釈法によりMICを測定した。

Ito, A. et al.:Antimicrob Agents Chemother., 2017, 62(1), e01454より改変

本研究は塩野義製薬株式会社の資金により実施された。著者に塩野義製薬株式会社社員が含まれる。

排出ポンプ高産生株における抗菌活性(in vitro

フェトロージャは排出ポンプ高産生に関与するmexR、nalD遺伝子の影響により、MICは2倍に上昇したが、CLSIブレイクポイントの値(4μg/mL)を超えることはなかった。
排出ポンプ高産生株における抗菌活性(in vitro)

Tn:transposon insertion、トランスポゾン挿入

セフィデロコルはID-CAMHB(鉄制限培地)、参照薬はCAMHBを用いてMICを測定

試験方法 

P. aeruginosa PAO1株及び変異株を用いて、CLSIの微量液体希釈法または寒天平板希釈法によりMICを測定した。

Ito, A. et al.:Antimicrob Agents Chemother., 2017, 62(1), e01454より改変

本研究は塩野義製薬株式会社の資金により実施された。著者に塩野義製薬株式会社社員が含まれる。

メタロβ-ラクタマーゼ(MBL)産生緑膿菌に対する高い感受性(in vitro

日本で多く検出されるメタロβ-ラクタマーゼ(MBL:VIM型、IMP型等)産生緑膿菌のフェトロージャに対する感受性率は100%であった。

北米及び欧州のサーベイランスデータ(2014年~2019年)

試験概要

2014年~2019年のSIDERO-WTサーベイランス試験にて北米及び欧州から収集された臨床分離株よりグラム陰性桿菌を対象とし、メロぺネム非感性緑膿菌等に対するフェトロージャの感受性をin vitroで検討した。

臨床分離株の同定には質量分析法(MALDI-TOF)、薬剤感受性試験にはCLSIの微量液体希釈法を用い、フェトロージャの培地にはID-CAMHBを使用した。

MBL : metallo-β-lactamase、メタロβ-ラクタマーゼ

VIM : Verona integron-encoded metallo-β-lactamase、クラスB カルバペネマーゼの一つ

IMP : Imipenmase、クラスB カルバペネマーゼの一つ

GES  : Guiana extended-spectrum β-lactamase、クラスA カルバペネマーゼの一つ

NDM: New Delhi metallo-β-lactamase、クラスB カルバペネマーゼの一つ

Wise, MG. et al.: Microb Drug Resist., 2023, 29(8), 360より作図

本研究は塩野義製薬株式会社の資金により行われた。著者に塩野義製薬株式会社社員が含まれる。

4. 効能・効果

〈適応菌種〉

セフィデロコルに感性の大腸菌、シトロバクター属、肺炎桿菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア・マルセスセンス、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、緑膿菌、バークホルデリア属、ステノトロホモナス・マルトフィリア、アシネトバクター属

ただし、カルバペネム系抗菌薬に耐性を示す菌株に限る。

〈適応症〉

各種感染症

「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等につきましては電子添文情報をご参照ください。

第Ⅲ相臨床試験における有効性・安全性
カルバペネム耐性グラム陰性菌感染症患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験 (CREDIBLE-CR試験)

CREDIBLE-CR試験は、一部承認外の効能・効果を含む試験ですが、承認時評価資料のため掲載します。

社内資料:セフィデロコルの第Ⅲ相カルバペネム耐性グラム陰性菌による重症感染症患者を対象とした非盲検試験[承認時評価資料]

Bassetti, M. et al.: Lancet Infect Dis., 2021, 21(2), 226

本研究は塩野義製薬株式会社の資金により行われた。著者に塩野義製薬株式会社社員が含まれる。

試験概要
解析計画
投与方法

EA:早期評価時 EOT:投与終了時 TOC:治癒判定時 FU:後観察時 EOS:試験終了時

7. 用法・用量に関連する注意(一部抜粋)

7.1 腎機能障害のある患者では、以下の基準を目安として用法・用量を調節すること。[9.2、16.6.1 参照]

    腎機能障害(Ccr 60mL/min未満)のある又は血液透析を受けている患者

Ccr(mL/min)/血液透析患者 1回投与量 投与間隔 投与時間
30≦Ccr<60 1.5g 8時間毎 3時間
15≦Ccr<30 1g 8時間毎 3時間
Ccr<15 0.75g 12時間毎 3時間
血液透析患者 0.75g 12時間毎 3時間

       Ccr:クレアチニンクリアランス

       ※:血液透析患者では、透析実施後できるだけ速やかに投与すること。

HAP/VAP/HCAP又はBSI/sepsisの患者におけるTOC時点での被験者ごとの臨床効果(主要評価項目)

HAP/VAP/HCAP被験者におけるTOC時の被験者ごとの臨床効果の有効率〔95%信頼区間〕は、フェトロージャ群で50.0%(20/40例)〔33.8, 66.2〕、BAT群で52.6%(10/19例)〔28.9, 75.6〕であった。

BSI/sepsis被験者におけるTOC時の被験者ごとの臨床効果の有効率は、フェトロージャ群で43.5%(10/23例)〔23.2, 65.5〕、BAT群で42.9%(6/14例)〔17.7, 71.1〕であった。

HAP/VAP/HCAP被験者におけるTOC時の被験者ごとの臨床効果の有効率(CR Micro-ITT集団)
*: 承認外菌種であるChryseobacterium indologenes1例を含む。

4. 効能・効果

〈適応菌種〉

セフィデロコルに感性の大腸菌、シトロバクター属、肺炎桿菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア・マルセスセンス、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、緑膿菌、バークホルデリア属、ステノトロホモナス・マルトフィリア、アシネトバクター属

ただし、カルバペネム系抗菌薬に耐性を示す菌株に限る。

〈適応症〉

各種感染症

BSI/sepsis被験者におけるTOC時の被験者ごとの臨床効果の有効率(CR Micro-ITT集団)

cUTI患者におけるTOC時点での被験者ごとの細菌学的効果: グラム陰性原因菌に対する効果(主要評価項目)

cUTI被験者におけるTOC時の被験者ごとの細菌学的効果の菌消失率〔95%信頼区間〕はフェトロージャ群で52.9%(9/17例)〔27.8, 77.0〕、BAT群で1/5例であった。

cUTI患者におけるTOC時点の被験者ごとの細菌学的効果(CR Micro-ITT集団)
パーセンテージは N' を分母として算出。 N' は、特定部位で感染が認められた例数。

安全性

カルバペネム耐性グラム陰性菌感染症患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験において、フェトロージャ群の副作用発現率は14.9%、BAT群は22.4%であった。

重篤な副作用は、フェトロージャ群で1例(トランスアミナーゼ上昇)、BAT群で5例(てんかん重積状態、アナフィラキシー反応、急性腎不全、敗血症性ショック、代謝性アシドーシス、呼吸停止及び急性腎不全各1例)であった。

投与中止に至った副作用はフェトロージャ群で3例(発熱、トランスアミナーゼ上昇、薬疹各1例)、BAT群で2例(アナフィラキシー反応、てんかん重積状態各1例)であった。

本試験において死亡に至った副作用は、フェトロージャ群では認められず、BAT群で1例(代謝性アシドーシス、呼吸停止及び急性腎不全)であった。

安全性

MedDRA/J Ver.18.1

*1: ランダム割付けされ、治験薬が少なくとも1回投与されたすべての被験者

*2: いずれかの投与群で3例以上に発現

References

1)THE REVIEW ON ANTIMICROBIAL RESISTANCE CHAIRED BY JIM O’NEILL: TACKLING DRUG-RESISTANT INFECTIONS GLOBALLY: AN OVERVIEW OF OUR              WORK, 2016

2)WHO Bacterial Priority Pathogens List, 2024 

https://iris.who.int/bitstream/handle/10665/376776/9789240093461-eng.pdf

3)CDC:ANTIBIOTIC RESISTANCE THREATS in the United States, 2019

4)IDWR:感染症発生動向調査感染症週報 2002年第17週 通巻第4巻第17号

5)日本環境感染学会 多剤耐性菌感染制御委員会:環境感染誌, 32, Suppl.Ⅲ, 2017, S1-S25

6)Magiorakos, A-P. et al.: Clin Microbiol Infect., 2012, 18, 268

7)Kadri, SS. et al.: Clin Infect Dis., 2018, 67(12), 1803

8)Logan, LK. et al.: J Infect Dis.,2017, 215(Suppl 1), S28

9)Mano, Y. et al.: BMC Microbiol., 2015, 15, 41

10)JANIS: 公開情報 2022年1月~12月年報(全集計対象医療機関) 院内感染対策サーベイランス検査部門【入院検体】

11)JAID/JSC 感染症治療ガイド2023(JAID/JSC感染症治療ガイド・ガイドライン作成委員会編), 日本感染症学会・日本化学療法学会, 杏林舎, 東京(2023), p392, 396

12)厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部 感染症対策課編: 抗微生物薬適正使用の手引き 第三版, 2023, 別冊, p21

13)Tamma, PD. et al.: Clin Infect Dis., 2024, July, 12, p62, 64

 

その他のフェトロージャ関連情報